【自社に関わっている人全てが勝つ】

 企業が仕事をする上では、複数の利害関係者が絡みます。仕入先、販売先、(最終)顧客、同業者、銀行(出資者)、従業員、地域の住人……これらすべてが、時折、競争的な関係になることもありますが、協調していくことで、世の中にサービスや商品を提供します。

 仕入先があるから、材料や商品を手に入れることができます。仕入先が良い仕事をすることで、自社の商品の品質も良くなります。仕入先が、納期に柔軟に応じてくれるからこそ、自社の納期も短くすることができます。品質・納期・コストはバランスが大事です。品質と納期で優れた仕入先をコスト面だけで叩くようになれば、長期的には、自社の仕事が危うくなります。

 同様に、販売先あるいは最終顧客がいるからこそ、自社の仕事はお金になります。ごくごく近視眼的な見方をすれば、劣悪なモノであっても高く買わせれば、自社は儲かるかもしれません。しかし、良い仕事をせず、焼畑をしていれば、自社は新規開拓をし続けなければなりません。良い販売先と協調できるからこそ、自社は長期的に収益を上げることができるのです。

 自社を取り囲む人たちが無理をしていれば、歪みはどこかで出ます。従業員を安くこきつかえば、逃げられます。地域の人と良好な関係を築いていなければ、会社に風評被害が出るかもしれません。経営者は、自分の事業が巻き込んでいる人たち全てに目を向けて、全員が勝てる理想を追わなければなりません。