【人材を育てるマニュアル】

紙に書いたことを、そのまま実行できるならば、この世の中には難しいことも一つもなければ、ミスも起こらないでしょう。

しかし、人間は、文書通りにはなかなか行動できないものです。また、文書では伝えられない(もしくは、極めて伝えづらい)情報があります。たとえば、動作は文書で伝達するのが難しい情報です。実際の動きを見なければ、理解できません。

従って、古くから、仕事を覚えるときには徒弟制のような形の学習法が取られてきました。ただし、このやり方にももちろん問題はあり、熟練者の動きを単に「見る」だけでは、情報を得ることができません。技能に熟達した人の動きはとても速く自然なので、何がポイントであるかということを理解することは、学習者にはなかなか困難です。

学習すべき内容が少なく、世の中の変化もない時代であれば、ずっと親方に付き添っていればよかったのかもしれません。時間をかければ、実践の中で学習することも可能でしょう。

しかし、現代ではもう少し早く、スキルやノウハウを身に付けることが求められます。たとえば、営業や作業の熟達者の動きを動画に撮ってみてはいかがでしょうか。素早く、途切れのない動きを、人為的にスローにしたり区切ったりという加工が可能です。また、優れた技能の持ち主が優れた教師であるとは限らないわけです。その時には、熟達者の動きをビデオに撮ることで、何が優れているのか、分析することができます。

マニュアルを、文書・映像それぞれの利点を取り入れ、作成することで、効率よく人材育成を行えることができるようになります。